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沢口靖子、20年以上も「科捜研の女」と付き合っていると、私生活にも影響が!?

今回の劇場版が節目の作品となると沢口靖子。映画『科捜研の女 -劇場版-』より
今回の劇場版が節目の作品となると沢口靖子。映画『科捜研の女 -劇場版-』より

 テレビシリーズ「科捜研の女」の放送開始20周年を突破して初の映画化作品となる『科捜研の女 -劇場版-』が9月3日に公開される。主演の沢口靖子に本シリーズに対する思いを、昨年秋に東映京都撮影所の撮影現場で聞いた。

【動画】マリコが難事件に立ち向かう『科捜研の女 -劇場版-』予告編

 1999年にテレビ朝日系で放送開始された「科捜研の女」シリーズ。難事件を京都府警科学捜査研究所(通称:科捜研)のメンバーが科学を駆使して解明していくミステリードラマ。アメリカでも同様のドラマ「CSI:科学捜査班」シリーズが人気だが、あちらは2000年スタート。「ウチの方が早い」という、中尾亜由子プロデューサーをはじめとする制作チームの自負がある。

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 それだけに劇場版の誕生は“ようやく”という感じもするが、「同じテレビ朝日系の『相棒』シリーズが劇場版でも成功している中で、ウチもやりたいという声が現場から随時上がっていましたが、2020年にSeason20という節目を迎えて機が熟した。またSeason19を1年間放送できたことが自信になった」という中尾P。一方、沢口は「まさか劇場版ができるとは思ってもいなかったので、夢のような話だと思っています」と頬をゆるめる。

科捜研のメンバー
ドラマでおなじみの科捜研のメンバー。映画『科捜研の女 -劇場版-』より

 そもそも第1回東宝シンデレラでグランプリを受賞して芸能界入りした沢口。日本映画界の斜陽が叫ばれる叫ばれば80年代に、未来を託された女優であった。武田鉄矢主演『刑事物語3 潮騒の詩』(1984)で女優デビューを飾るや、『ゴジラ』(1984)、大林宣彦監督『姉妹坂』(1985)と立て続けに出演。今に続く、長澤まさみ上白石萌音萌歌姉妹、山崎紘菜浜辺美波ら同グランプリ出身女優が映画で活躍する基盤を築いた。

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 沢口は当時を振り返り「確かに出発点は映画なのですが、私的には女優としての意識もまだまだ低くて、素人同然のお恥ずかしい状態だったなと思います。当時は無我夢中で、本当にいいのかな? という感じでした」と謙遜する。

 その後、NHK朝の連続テレビ小説「澪つくし」、再演を重ねた舞台「藏」と「細雪」、さらにドラマ「鉄道捜査官」と「検事・霞夕子」の両シリーズも長年人気を博し、堅実かつ真摯(しんし)に女優業と向き合ってきた。その中で「科捜研の女」シリーズについて沢口は「わたしの代表作の一つですし、今回の劇場版が節目の作品となることは間違いないです」と胸を張る。

科捜研のセット
さまざまな事件を分析!科捜研のセット

 本シリーズに賭ける主演女優のためにも、制作陣が劇場版で用意したのはさらなるハードル。バイオ研究者の世界同時多発不審死事件の謎を追うワールドワイドな展開かつ、マッドサイエンティストの一面を持つという“史上最強の敵”加賀野亘(佐々木蔵之介)が榊マリコ(沢口)ら科捜研チームの前に立ちはだかる。沢口は「(事件解明の)難易度は高いです。かなり難しいセリフもありまして、理解するのも難しいですね。セリフが自分の言葉として出てくるまで、何度も反復しました」と語る。

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 本シリーズの魅力の一つは、実はここにある。謎解きがいくら面白くとも、ドラマそのものに説得力がなければ視聴者は興ざめしてしまう。それを知っているからこそ沢口は「毎回毎回新しい勉強なのですが、自分の言葉でセリフを言いたいという思いがありまして、ちょっと引っかかると専門家の方に質問して、自分の中で腑に落ちるようにしてから撮影に臨むようにしています」という。加えて中尾Pによると科捜研での鑑定シーンでは、手元だけしか映らないカットでも、代役ではなく沢口自身が演じた方が圧倒的に早く、うまいのだという。

解剖シーン
風丘教授(若村麻由美)とマリコ(沢口靖子)の解剖シーン。映画『科捜研の女 -劇場版-』より

 ただし劇場版では土門薫刑事(内藤剛志)と事件を解明する台本3ページに渡るシーンを、クレーンを使ってワンカットで撮るというダイナミックな撮影に挑んだそうで、沢口は「ものすごくドキドキしました。それがまた細菌が持つ毒性とか科学者っぽいやり取りでしたので。でもわたしたちの緊張感が、良い形で映像にも表れていると思うので、それが観ている方にも伝わるのではないかと思っています」と興奮気味に語る。

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 そんな沢口にとって演じるマリコの魅力は「それがこの作品に向かうわたしの原動力にもなっているのですが、いつも前向きなところと、諦めない姿勢ですね。例え1万回失敗しても、真実を見つけようとする精神に惹かれます」という。もっとも20年以上もマリコと付き合っていると、私生活にも影響が出てきたという。「何か日常で起こった些細な出来事でも、分析してしまうところがあるようで、友達から『役の影響じゃない?』と指摘されました。それくらいわたしにとってマリコは分身のような存在です。制作の皆さんや観ている方に、大きく育てていただいたと思っています」と感謝の言葉を述べた。

 まもなく女優生活40年を迎える沢口の、前祝いとなる作品となりそうだ。(取材・文:中山治美)※榊の字は木へんに神が正式表記

映画『科捜研の女 -劇場版-』は9月3日に公開

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