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浦沢直樹、背後から手塚治虫の声 「PLUTO」誕生秘話明かす

あこがれの手塚治虫と会えそうで会えなかったエピソードも明かした浦沢直樹
あこがれの手塚治虫と会えそうで会えなかったエピソードも明かした浦沢直樹

 映画『星くず兄弟の新たな伝説』の公開に向け、本作のメガホンをとる手塚眞監督がホストとなって定期的に行っているライブイベント“星くずサロン”が6日、都内で行われ、本作にカメオ出演している漫画家の浦沢直樹が、手塚監督と親交の深いタレントの中川翔子とともに登壇。手塚眞の父で漫画家、故・手塚治虫の代表作「鉄腕アトム」の「地上最大のロボット」の回を原作とした自身の代表作「PLUTO」の誕生秘話を明かした。

【写真】浦沢直樹がカメオ出演!『星くず兄弟の新たな伝説』場面写真

 手塚がロックンローラー・近田春夫が発表したアルバムを映画化した1985年のロック・ミュージカル映画『星くず兄弟の伝説』を、約30年ぶりに同コンビで復活させた本作。近未来を舞台に、若返ったスターダスト・ブラザーズが歌やダンスを交え破天荒な大冒険を繰り広げる。

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 浦沢は登壇するなり冒頭から大ファンだという手塚治虫談義に没頭。「鉄腕アトム」を原作に漫画を描きたいと手塚サイドに持ちかけた際の思い出も述懐し始めると、同作の監修を担当した手塚眞も当時を振り返り、「浦沢さんが相手だとはいえ、さすがに(父の)代表作の『鉄腕アトム』だしって返事を半年悩んだ」とコメント。「半年返事が来ないと大体NGだから」と浦沢はあきらめていたというが、「半年悩んで、良しって」と手塚眞は結局これを快諾した。

星くずサロン
左より手塚眞、中川翔子、浦沢直樹

 浦沢は「手塚治虫の名が原作に入るってどういう感じだかわかる?」と中川に問いかけつつ、執筆当時の心境を告白。「手塚眞さんのOKをもらった時から体調崩してしまってね……全身じんましん」と苦笑い。手塚眞からは手塚治虫のタッチではなく、浦沢の画でとリクエストをもらったというが「自分の画で好きにやり始めても、描いているときにこの辺(背後)から声がするんです」とため息。

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 「浦沢氏、それは違う」と背後から手塚治虫の声が降ってくるようになったといい、「でもまあ、それを追い払って……」と自分の思う「PLUTO」を描き進めた。降臨する手塚の声がプレッシャーだった浦沢だが、最後は秘めた願望も口に。「一度でいいから(手塚治虫に本当に)浦沢氏って言ってもらいたかったな」としみじみ。

 ちなみに手塚治虫氏とは一度だけ直接話をするチャンスが訪れそうになったことがあったそうで、「ホテルで漫画家さんのパーティーがあるからって担当編集者に誘われて行ったんです。会場で舞い上がっている中、いきなり手塚先生が入ってきて……」と切り出した。

 「驚きましたね。ギャーって。こっちに来るのでどうしようと思っていたら、その編集者が実は(手塚治虫の)『陽だまりの樹』の担当をしていて、見た途端に手塚先生が(締め切りを気にして)パーッと逃げてしまったんです。『すぐ仕事場に帰るから』って」と回想。たくさんの仕事を抱え、編集者の顔を見ると逃げ出すところもあった手塚治虫の茶目っ気たっぷりな素顔を明かして会場を盛り上げていた。(取材・文=名鹿祥史)

映画『星くず兄弟の新たな伝説』は2018年1月20日よりテアトル新宿ほかで公開

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