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なぜゾンビは人気なのか?世界中で人を惹きつける理由

果たして乗客は生き残れるのか…?
果たして乗客は生き残れるのか…? - (C) 2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.

 海外ドラマ「ウォーキング・デッド」やブラッド・ピット主演の大作『ワールド・ウォー Z』が大ヒットを記録するなど、近年ゾンビ作品はマニア以外の層にも広く親しまれるようになった。なぜゾンビ作品は世界中でここまでの人気を獲得したのだろうか? 韓国で公開されるや“ゾンビブーム”を巻き起こし、アメリカでのリメイクも決定した話題の映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』を手掛けたヨン・サンホ監督が来日し、ゾンビが人を惹きつける理由を語った。

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 ゾンビの魅力は「遠くかけ離れた存在ではなく、人間の生き方を見せてくれるような存在」であることだと分析するヨン・サンホ監督。ゾンビは「自分が別の存在に変わってしまうかもしれないという恐怖」を観客に与えるが、「これはゾンビだけではなくて、例えば家族が認知症になってしまったり、知人が別人のような姿になってしまった場合にも同じことが言えると思います。皆さんも身近に感じている恐怖だと思うんです」と日常で感じている恐怖が、スクリーン上で姿を変えたものがゾンビという存在だと説明する。

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感染者
『新感染』に登場する第一感染者。実際に俳優が演じることによって動きに特徴が出た - (C) 2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.

 さらに、ゾンビを見た観客は「自分が別の存在に変わって、愛する人を傷つけてしまうのではないかという恐怖」も味わう。「人は最後の死の瞬間を迎えるときに、心の中に抱えていたものが外に出る、気持ちをさらけ出すと昔聞いたことがあるんです。それもやはり心配ですし、恐怖を感じるのだと思います」。この二つの恐怖に共通するのは「私たちの人生と重なるような普遍的な恐怖」であるということ。ヨン・サンホ監督は、その二つの普遍的な恐怖こそが「大衆的な魅力を感じさせる要素になっているのではないかと思います」と世界中でゾンビが愛される理由について語った。

 また、監督は「吸血鬼や狼人間のような、超人的な能力がない点」が気に入っているそう。「退治しやすいというのもありますし、超人的ではない、普通の人に近いところがいいなと思ったんです。そうは言っても、ゾンビが集まった時にはやはり恐怖心をあおるものがありますし、その恐怖はすごく大きいと思うんです」。

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 ゾンビが持っている「自分が別の存在に変わってしまうかもしれないという恐怖」「愛する人を傷つけてしまうのではないかという恐怖」の二つにフォーカスすることにこだわった監督は、多くのゾンビ映画に見られる残忍な描写を『新感染』では徹底的に排除した。それは、「人によってクラシックなゾンビがどういうものか、考え方が異なるかと思いますが、社会的な意味を象徴しているというのがクラシックなゾンビではないかと思いました」という思いからだ。ゾンビ映画の定番ともいえる散弾銃でゾンビの頭を撃ち抜くアイデアや、軍人とゾンビが出会うシーンで銃を使用するアイデアなどもあがったが、それらが採用されることはなかったという。

監督
来日したヨン・サンホ監督

 本国での公開当時、まだゾンビは韓国社会でメジャーな存在ではなく、これまでにヒットしたゾンビ映画もなかったため宣伝で一切ゾンビという言葉を使わなかったが、今作の大ヒットを機に韓国でも今はゾンビブームが巻き起こり、そうした映画も盛んに作られるようになったそう。これは、監督がゾンビの中にある二つの普遍的な恐怖を追求した結果だろう。

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 本作は、感染者を凶暴化させる謎のウイルスがまん延するパニック状態の高速鉄道で、幼い娘を連れたファンドマネージャーのソグ(コン・ユ)ら乗客たちが決死のサバイバルを繰り広げるさまを描いたノンストップサバイバルアクション。昨年のカンヌ国際映画祭のミッドナイト・スクリーニング部門で上映され話題を呼んだほか、作家のスティーヴン・キングや『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロ、『ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライトら世界の鬼才たちから絶賛を集めた。9月1日より全国公開。(編集部・吉田唯)

『新感染 ファイナル・エクスプレス』予告編 » 動画の詳細
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