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世界金融危機に陥る前の24時間を金融マンの視点から描くアカデミー賞オリジナル脚本賞の有力候補『マージン・コール』

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J・C・チャンダー監督
J・C・チャンダー監督

 初監督作品だが、ケヴィン・スペイシージェレミー・アイアンズポール・ベタニーなどのハリウッド実力派俳優が結集した話題の新作『マージン・コール(原題) / Margin Call』について、新人監督J・C・チャンダーが語った。

 同作は、2008年の世界金融危機(リーマン・ショック)に突入する前の24時間を、投資銀行の金融マンたちの視点から描いた作品。キャストは、極秘情報を託された若いアナリスト役にザカリー・クイント、その彼の上司で熱狂的なセールスマン役にケヴィン・スペイシー、会社のリスク担当役をしているデミ・ムーア、さらに会社の最高経営責任者にはジェレミー・アイアンズが演じている。タイトルのマージン・コールとは、株の信用取引において、追加委託保証金の損失割合が大きくなって、担保力が不足しているという警告を指している。

 まず、制作経緯についてJ・C・チャンダー監督は「この映画を製作するまで、長い間CM製作に携わり、4、5年前には長編作品を制作する予定だったが、撮影前に企画倒れになってしまい、しばらく映画界から離れていた時期もあったんだ……。この離れていた時期に僕は不動産業にかかわって、そんな時期にあの世界金融危機(リーマン・ショック)が起きてしまった。だが、そんな絶望的な状況の中で、脚本の基となる81ページの草稿を4日間で書き上げ、それを(映画界の)親友に見せたことがきっかけで、この映画の製作に結びついたんだ」と随分苦労した過程であったことを語った。

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 映画内では、2008年当時のリーマン・ブラザーズそのものを描いているように思える点について「この映画で描かれている投資銀行は、いかに極秘情報を他の金融関連会社に漏らさずに、世界金融危機に陥るまでの残り24時間を、どのように対応するかに視点を置いている。ただ、映画内ではこの投資銀行の名前はなく、あくまでフィクションとして描いているんだ。あくまでフィクションではあるが、フィクションだからこそ、より真実を追求し、(人々の間で)議論を引き起こすことになると思っている。なぜなら、実際に投資銀行の金融マンたちにインタビューしたところで、(自分たちを守るために)嘘をついてしまって、彼らからは何の真実も生まれてこないからだ」と述べた監督は、この映画は5、6の投資銀行をモデルとしていて、リーマン・ブラザーズだけをベースにしているわけではないことを明らかにした。

 キャスティングについて「ラッキーだったのは、僕が執筆した脚本にほとんどの俳優が興味を示して参加してくれたことだ。ちなみに、このキャスティングを行ったのは2009年で、当時の経済状況下から多額の予算の捻出をすることも難しかったうえに、さらにそんな不況を招く映画を題材にした映画に資金をつぎ込もうとする人たちもいなかった……」と語り、ベン・キングズレーティム・ロビンスらが、資金繰りができずに降板してしまったそうだ。だが「デミ・ムーアが演じた役を演じるはずだったカーラ・グギーノが、主役ザカリー・クイントにこの映画にかかわることを勧め、さらに彼女が所属していたエージェント、CAA(クリエイティブ・アーティスト・エージェンシー)の俳優たちも紹介してくれたんだ」。だが残念なことにカーラは、この映画の準備期間にCAAの契約が切れて、この映画に参加できなかったらしい。

 映画は、世界金融危機前の投資銀行の金融マンたちの人間性とモラルを追求し、非常に完成度の高い作品に仕上がっている。現在のところ、アカデミー賞オリジナル脚本賞の有力候補とされている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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