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もうやめて!10月の5つ星映画5作品はこれだ!

今月の5つ星

 話題作が盛りだくさんで、選定が難航した今月。邦画は蒼井優が不倫に溺れるゲスヒロインを熱演した秀作&菅田将暉ヤン・イクチュンのタッグ作を、洋画は進化した猿と人間の争いを描いた大ヒットシリーズ第3弾と、実在する呪いの人形が暗躍する最恐ホラー&人種差別がテーマの全米大ヒットホラーをピックアップ。10月の5つ星映画5作品はこれだ!

あゝ、荒野
(C) 2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ
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「愛」だとか「友情」だとか薄っぺらい言葉は似合わない

『あゝ、荒野』

 監督・主演を務めた『息もできない』で心がすさんだ借金取りの男にふんし、その荒々しくも切ない演技で高い評価を受けたヤン・イクチュンと、今をときめく菅田将暉の共演が実現。それぞれ必要に迫られてボクサーを目指す男たちにふんした二人は、肉体改造はもちろん岸善幸監督の「演技者に自由に動いてもらって、カメラが手持ちでそれについて行く」というハードルの高い演出に応え、執念の熱演を見せる。「怒り」を生きる力にする新次(菅田)と、弱い自分を変えたい吃音症の“バリカン”こと建二(ヤン)は性格も対照的、ボクシングのスタンスも異なる。それぞれ恋人、親密になる女性もできるが、とりわけ建二には新次しか見えていない印象だ。クライマックスで建二の取った「決意」をどう受け止めるのか。「愛」だとか「友情」だとか薄っぺらい言葉では表現できない二人の結びつきに激しく胸を揺さぶられる。また、脇役のキャスティングがさえまくっている作品でもあり、新次と“バリカン”をしごくトレーナーを演じるユースケ・サンタマリアでんでんの名演が素晴らしい。(編集部・石井百合子)

映画『あゝ、荒野 前篇』は10月7日より公開中、『あゝ、荒野 後篇』は10月21日より公開

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アナベル 死霊人形の誕生
Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ
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死霊人形にもうやめて……とお願いしたくなる最恐ホラー

アナベル 死霊人形の誕生

 傑作オカルトホラー『死霊館』シリーズに登場した、実在する呪いの人形アナベルにスポットを当てたスピンオフの続編。娘を亡くす不幸に見舞われた人形師とその妻が暮らす館に移り住んだ孤児の少女たちを、不可解な現象が襲う。『死霊館』より前の話となるため、アナベルが退治されないと知った上で、少女たちが襲われるさまを見ることがまず怖い。さらに、おとなしめの印象だった前作と違って、工夫を凝らした恐怖がラストまで畳み掛けてくるようで、ホラー映画に慣れていても「もうやめて……」となること必至だ。アナベルだけでなく、『死霊館 エンフィールド事件』の恐ろしい修道女まで登板しており、舞台となる館は怪異のデパート状態。戦慄(せんりつ)を求める観客の期待に十二分に応える作品になっている。物語に直接関係はないが、実在のアナベルと同じモデルの人形も出てくるので、怖さに耐えてしっかりラストまで見ることをオススメする。同シリーズは修道女に焦点を絞ったスピンオフも企画されており、これから続く“『死霊館』ユニバース”への期待も膨らむばかりだ。(編集部・入倉功一)

映画『アナベル 死霊人形の誕生』は10月13日より公開

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猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)
(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
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挫折の次は葛藤……試され続けるリーダーの宿命

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)

 傑作SF『猿の惑星』の前日譚(たん)シリーズ第3弾となる本作は、いきなり主人公シーザーの妻と息子が人間(大佐)に殺され幕を開ける。それにより抱えることになる抑えきれない憎悪と、猿軍団のリーダーとしての進むべき道との葛藤に苦しめられるシーザー。かつて仲間のために掟を破り盟友コバを見限ったとき同様、唯一無二の存在であるゆえの試練……。劇中ウディ・ハレルソン演じる大佐がシーザーと対面した際、「まるで人間のような目だ」(そりゃそうなのだけども……)というシーンがあるが、その目に集約されたアンディ・サーキスの深みありまくりの演技は、ふんだんに盛り込まれた最新デジタルテクノロジーに食われることなく、むしろ見事な化学反応により、さらなるリアリティーを持って、彼らの世界にそしてシーザーの心に観る者を引き込んでいく。そして、全体にグレーな雰囲気を持つ本作の世界観に一輪の花のような鮮やかさと抜群のユーモアをもたらしているのが、謎の少女ノバと動物園出身の猿バッド・エイプという魅力的な新キャラたち。明かされ始めた惑星の運命が気になる。最後まで気の抜けない快作だ。(編集部・浅野麗)

映画『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』は10月13日より公開

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ゲット・アウト
(C) 2017 UNIVERSAL STUDIOS All Rights Reserved
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爆笑できるホラー、待ってた!

ゲット・アウト

 白人彼女の実家を訪れた黒人の主人公クリスが「なに? なんか変だよな?」と抱き続ける違和感に、観ている側も完全に乗っかって最後まで一気に展開。根深い人種問題を扱って問題提起しながらも、緊張と緩和の作用で爆笑できる場面も用意されているところが秀逸だ。本国アメリカでの「人種に関するステレオタイプを鋭く指摘しつつ、エンターテインメント性の高い作品」という批評家の意見や口コミはまさにその通りで、何が起きているのかわからないスリルを交えて映画の醍醐味を味わえる。昔からホラー映画ファンだったという米人気コメディアンのジョーダン・ピールが監督デビュー作で持ち前の才能を開花させ、ただ怖がらせるだけではない稀有なホラーを誕生させた。ホラージャンルに苦手意識がある人でも問題なし。むしろ、苦手だからと避けてしまうのはもったいない。低予算ながら全米ボックスオフィスランキング初登場1位に君臨したのも納得の出来で、発想豊かなストーリー&キャラクター設定に驚愕すること必至。本当に恐ろしいのは欲深い人間か。(編集部・小松芙未)

映画『ゲット・アウト』は10月27日より公開

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彼女がその名を知らない鳥たち
(C) 2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
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ゲスにまみれた中で光る、恐ろしいほどの純愛物語

彼女がその名を知らない鳥たち

 この映画は純愛映画だ。同居人をさげすみ不倫の蜜に溺れていくヒロイン、という設定だけ聞くと「なーんだ、そんな女に共感なんてできないよ~」と思うかもしれないが、彼女の本質はきっと誰にでもある弱さだ。正論や助言に対して、すぐに「その通り」と素直に反省できるようになったのはいつから? 「大人」はうまい折り合いの付け方を知っているのかもしれないが、そこで「子供」のまま年齢を重ねてしまった一例が、今回蒼井優が演じているヒロインなのかもしれない。簡単に言えば、ものすごく生きるのが下手。そんな子供を、大人の駆け引きの恋愛が幸せにできるだろうか? 最後の恐ろしいまでの純愛には涙が止まらなくなることだろう。と、ここまで語りつつも、「不倫=ゲス=ヨクナイ!!」という図式が頭にある自分も気づけばメッチャ感情移入しているじゃん……と驚き、映画の完成度の高さを鑑賞後にも改めて痛感した。物語を見るという感覚ではなく、誰かの人生をのぞいているという気持ちに陥らせるほど「人」を見せる作品に仕上げた蒼井と阿部サダヲの演技力には脱帽すること間違いなし。(編集部・井本早紀)

映画『彼女がその名を知らない鳥たち』は10月28日より公開

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