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2023年前半の成功作・失敗作…スーパーヒーロー映画疲れに懸念

世界的大ヒットとなった『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
世界的大ヒットとなった『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』 - (C) 2022 Nintendo and Universal Studios

 早いもので、2023年もすでに折り返し地点を迎えた。パンデミックも落ち着いた今年の北米ボックスオフィスは、昨年のこの時点より20%アップと、とりあえず好調。しかし、いつものことながら、作品ごとに見てみると、サプライズヒットもあれば、一見したところ良くても期待を下回ったものもある。現段階での成績表をチェックしてみよう。(数字は 7月4日時点のBox Office Mojo調べ、1ドル140円計算)(文:猿渡由紀)

【動画】上半期一番のヒット!『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』本編映像

 今年上半期の最優等生は間違いなく、13億ドル(約1,820億円)の世界興収を誇る『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』だ。今年10億ドル(約1,400億円)の大台に乗った唯一の映画である今作は、観客から「A」の評価を受けたことも示すようにファンを大満足させ、公開8週目まで北米で5位以内にとどまった。

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 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』と『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』も大ヒット。『ガーディアンズ~』は北米デビュー成績が前作を下回ったことからやや心配されたが、現在までの世界興収は8億3,800万ドル(約1,173億円)で、前作の8億6,400万ドル(約1,210億円)にほぼ追いついた。長編アニメ部門でオスカーを受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編である『~アクロス・ザ・スパイダーバース』は、公開から1か月がたち、1作目の1.5倍以上となる6億ドル(約840億円)の世界興収を稼いでいる。

 『クリード 過去の逆襲』も大成功。『クリード』シリーズ3作目にしてマイケル・B・ジョーダンの監督デビュー作となった同作は、日本ではぱっとしなかったものの、北米オープニング成績、世界興収共にシリーズ最高を記録した。『ジョン・ウィック:コンセクエンス』も、シリーズ4作目にして最高の売り上げを達成。他には、いずれも2,000万ドル(約28億円)以下で作られたホラー映画『M3GAN/ミーガン』と『死霊のはらわた ライジング』が、それぞれ世界興収1億8,000万ドル(約252億円)と1億4,700万ドル(約206億円)を売り上げるスマッシュヒットとなった。

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リトル・マーメイド
実写版『リトル・マーメイド』も立派なヒット - (C) 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

 世界興収5億2,800万ドル(約739億円)の『リトル・マーメイド』も立派なヒット。しかし、『アラジン』の10億ドル(約1,400億円)、『ライオン・キング』の16億ドル(約2,240億円)と比較すると冴えない。同じことは『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』にも言える。世界興収6億9,900万ドル(約979億円)は数字だけ見れば申し分ないが、一つ前の『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』の世界興収7億2,600万ドル(約1,016億円)を下回る。それに、パンデミックやキャストが増えたこともあって、これまで以上に高い3億ドル(約420億円)超えの予算がかかっているのだ。これまで好調だった中国で伸び悩んだことも、あと2本予定されているシリーズの将来に影を投げかける。

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 さて、ガッカリだった作品はというと、意外にもスーパーヒーロー映画が目立つ。『シャザム!~神々の怒り~』(世界興収1億3,400万ドル・約188億円)は、配信と同時公開されたパンデミック中の作品を除き、DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)映画で過去最低の成績を記録。公開前にワーナー・ブラザース・ディスカバリーのトップらが「史上最高のスーパーヒーロー映画」と煽った『ザ・フラッシュ』も、デビューからぱっとしなかったが、2週目には72%もダウンし、世界興収は2億5,000万ドル(約350億円)にとどまっている(製作費は2億ドル・約280億円)。『アントマン&ワスプ:クアントマニア』も公開2週目の北米成績は1週目の70%減で、世界興収はマーベルにしては珍しい5億ドル(約700億円)以下。そろそろスーパーヒーロー疲れが出てきたのかとの懸念の声も聞かれる。

 ほかには、ニコラス・ケイジが久々にメジャースタジオに復帰した『レンフィールド(原題) / Renfield』が6,500万ドル(約91億円)の製作費に対し世界興収2,600万ドル(約36億円)、A24が創業以来最も高額な3,500万ドル(約49億円)の予算を出したアリ・アスター監督(『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』)の『ボー・イズ・アフレイド(原題) / Beau Is Afraid』が世界興収1,100万ドル(約15億円)と、期待外れの結果に。一方、『マイ・エレメント』は、インフレ調整するとピクサー史上最低の北米オープニングではあったが、観客が「A」の評価をするなど口コミの力で2週目以降も30%台しか落ちず、地道に数字を伸ばし続けている。今後どこまで這い上がれるか注目だ。

 今年後半も、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』『オッペンハイマー(原題) / Oppenheimer』『バービー』『MEG ザ・モンスターズ2』、『エクスペンダブルズ』シリーズ第4弾、『デューン 砂の惑星PART2』『マーベルズ』『ウォンカ(原題) / Wonka』など大作が多数。それらの作品が満足させてくれることを期待したい。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』本編映像:ピーチ姫のトレーニングコース » 動画の詳細
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