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ジブリ鈴木Pに聞く名アニメーターの条件 腕っこきが集まった「ショートショート」発売

ジブリの短編について語った鈴木敏夫プロデューサー
ジブリの短編について語った鈴木敏夫プロデューサー

 スタジオジブリの手掛けたCMやPVを収録した短編集「ジブリがいっぱい SPECIAL ショートショート 1992-2016」のブルーレイ/DVD発売に先駆け、鈴木敏夫プロデューサーが、ジブリにとっての短編や、ジブリを支えるアニメーターについて語った。

予告編「ジブリがいっぱい SPECIAL ショートショート 1992-2016」

 名作アニメの数々で知られるジブリには、短編制作の依頼も数多く舞い込む。作品集には、1992年から2016年にかけて、宮崎駿をはじめ、近藤喜文百瀬義行田辺修稲村武志橋本晋治大塚伸治近藤勝也宮崎吾朗ら、ジブリを支える監督・アニメーターが手掛けた、計32本の「ショートショート」が収録されている。

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ジブリにとっての短編

 一時期は、殺到する短編制作の依頼を断り続けていたという鈴木プロデューサーだが、ある時、考えが変わった。「ジブリにもいろんなアニメーターがいましてね、腕はあるんだけど仕事をやってくれない、面倒くさいのがいるんですよ。そういう人たちに、CMで稼いで会社に貢献していると、言い訳を作るいい機会かなと思ったんですよね」

 そうして取り組んだ短編制作は、結果として、一流のアニメーターが長編ではできない表現を試みる機会となった。鈴木プロデューサーも「ジブリのショートショートはね、みんな腕っこきが描いているから、レベルが高いんですよ」と自負する。

 また、「ジブリが作る長編って、監督がそういう人たちだから非常に凝っていてお金も時間もかかる。回収も大変だから、あまりとんがったものは作りづらい。でも短いのは実験精神で、ちょっと、とんがったことをやってみる。そういう違いはあるんじゃないですかね」とも。気になるのは、「ジブリがやりたいこと」と「クライアントの要望」とのバランスだが、「それはね、簡単なんです。条件に入れるんですよ。好きなように作りますって」と笑う。

 「企画会議なんて絶対にやらないです。(担当者が)たまたまジブリに来てくれたときにね、その場で話しちゃう。新しい方には必ず言うんです。『注文に応えるっていう経験がないんで下手なんです。だから、まずは好きに作らせてくれませんか。駄目だったらやめましょう』って。態度、デカいですよね(笑)。でも、その方がいいものができると思ってんですよ」

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ハウス食品「おうちで食べよう。」シリーズ CM (C)2015 Studio Ghibli

 その言葉の通り、「ショートショート」には、日本トップレベルのアニメーターが存分に腕を振るった映像が集まった。「結果としては、そうなりましたね。新人研修にも役立つかなって思ったんですけど、短いものは、やっぱり世間の目が厳しい。そうすると畢竟(ひっきょう)ね、うまい人に頼まざるを得なくなる。若い人たちに作ってもらったものもあるけど、やっぱり見栄えがしない。だから結果として、腕っこきがやったんです」

良いアニメーターとは

 ジブリを支えてきたアニメーターと仕事をしてきた鈴木プロデューサー。良いアニメーターの条件を尋ねられると「アニメーターっていうのは実写の世界で言うと役者さんなんですよね。それこそ、(キャラクターが)歩くとか食べるとか、いろんな動きをするわけじゃないですか。それが上手というのかな」と語る。

 「アニメーターの人たちって、キャラクターを描くよりやっぱり芝居、動かしたいんですよ。極論を言えば、(動かす)物は誰かが描いてくれればいいってなるんですよね。それは上手な人ほどそう」。「ショートショート」には、猫のコニャラ(日清製粉グループ企業CM)など、鈴木プロデューサーのイラストを基にしたキャラクターもよく登場するが、「僕のは本当にいたずら描き。それを立派にしてくれるのがアニメーターなんです」という。

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日清製粉グループ 企業CM「コニャラ」(C)2015 Studio Ghibli

 だからこそ、ジブリには完成された「一枚絵」を描きたがるアニメーターは少ないという。「誤解を与えるかもしれないけれど、一枚絵が上手な人は、芝居はうまく描けない。これは面白いですよ。ジブリのポスターでも、宮崎駿って人は頼んでも描こうとしないんです。しょうがないから僕が下描きを適当に描いちゃう。早いですよ。ポスターっていうとAからCまでとか、何枚か(候補を)用意するでしょ? 僕は一枚しかやらない。そんなこと無駄だもん。何枚も描くっていうのは最悪ですよね。自信のなさの現れ。だからジブリのポスターって、全部じゃないけど、決まるまでは5分ですよ。これは本当。本来、それが正しいと思ってんですよ」

ショートショートで目指すこと

 そんな鈴木プロデューサーの言葉は、「ショートショート」の数々が、「面白いことをやる」「良いものを作る」ことを、とことん追い求めた結果、生まれた作品であることをうかがわせた。

 例えば、漫画家・杉浦茂氏のキャラクターが動く読売新聞の企業CM「ふうせんガムすけ」。これは、鈴木プロデューサーが杉浦氏のファンであったことから生まれた。「僕が杉浦茂さんを大好きだった。でも向こう(クライアント)はね、やりたくないんですよ。それを無理矢理説得してね。世の中って、そういうことあるんですよね」。丸紅新電力の企業CM「鳥獣戯画」の映像化も、鈴木プロデューサーが長年希望していた企画だ。

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「ジブリがいっぱい SPECIAL ショートショート 1992-2016」(C)2019 Studio Ghibli

 同時に短編制作は、アニメーターがとことんまでやれる場にもなる。「(三鷹の森)ジブリ美術館で短編をやっているでしょ? 最近だと『毛虫のボロ』(宮崎駿監督)。あれは14分の作品ですけど、3年かかってるんです。それを言うと宮さん怒るんですけどね。なかなか1年で作ってくれない。やりだすと際限がないんです。ある方の発言を借りると、作品っていつも未完成。だから、やる人はとことんやるんですよね。長編だといろいろあって早く進めなくちゃいけないんですけどね。短ければ短いほど、それができる環境があるでしょう」

 そのため、長編も短編も大変さは変わらないという鈴木プロデューサー。同時に、ジブリの短編では「あんまり凝ったものやっても仕方ない」という。「動く楽しさ、物に命を吹き込んでいく楽しさってね、やっぱり単純なものになっていく。そういうのを動かして楽しかったら、子供が一番喜ぶと思うんですよね」。(編集部・入倉功一)

「ジブリがいっぱい SPECIAL ショートショート 1992-2016」は発売中(ブルーレイ・4,700円+税/DVD・3,800円+税)

「ジブリがいっぱいSPECIAL ショートショート 1992-2016」予告編 » 動画の詳細
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