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実際の母親毒殺未遂事件がモチーフ『タリウム少女の毒殺日記』に外国人記者も好評価

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実際の事件をモチーフにした本作で、映画のフォーマットを壊したと土屋豊監督
実際の事件をモチーフにした本作で、映画のフォーマットを壊したと土屋豊監督

 12日、有楽町の日本外国特派員協会で、第25回東京国際映画祭「日本映画・ある視点部門」作品賞を受賞した映画『タリウム少女の毒殺日記』特別上映会が行われ、土屋豊監督が外国人記者の質問に答えた。

 本作のモチーフは、実の母親に劇物であるタリウムを摂取させた毒殺未遂事件として知られる2005年の「タリウム少女」事件。2008年6月に起きた秋葉原無差別殺傷事件がモチーフの『RIVER』、愛知県の某中学校で実際に起きた事件を下敷きにした『先生を流産させる会』などの例を挙げるまでもなく、実在の事件をモチーフにしたリスキーな企画は、インディーズ映画ならではといえる。

 土屋監督は、タリウム少女の印象を「観察者」と定義づける。「彼女が書いたブログがアーカイブされていて、そこから読み取れる印象から想像して作り出した物語。単純にアリやハムスターを観察するのと同じようにお母さんを観察する。そういう観察者としての彼女が、(本作が撮影された)2011年という時代をどういう風に観察するのか。まずはそれを描きたいと思いました」と本作を制作したモチーフを明かした。

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 外国人記者たちは、本作の疾走感あふれる映像と音楽。さらには登場人物がカメラ目線でセリフを話し、監督自身が映画の中に入り込んで登場人物と対話するといった、本作のトリッキーな演出の数々に興味津々だったようで、感想も「とてもエネルギッシュな映像」「挑発的な演出」「映像表現がユニーク」とおおむね好評価だったこの日の上映会。

 このようなトリッキーな演出になった理由について土屋監督は、「もともと用意していた企画は物語性のしっかりしたものだったのですが、それでは資金が集まらず。次第にこれは俺がやりたいのと違うなと考えるようになりました。その反動もあり、映画自体のフォーマットを壊していく作品をやりたくなったんです」と述懐した。(取材・文:壬生智裕)

映画『タリウム少女の毒殺日記』は2013年春より渋谷アップリンクにて公開

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