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サリー・ポッター監督の新作は、60年代の多感な二人女の子を描いた作品に挑戦!

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(左から)アリス・イングラート、アレッサンドロ・ニヴォラ、サリー・ポッター監督、エル・ファニング
(左から)アリス・イングラート、アレッサンドロ・ニヴォラ、サリー・ポッター監督、エル・ファニング

 現在開催されている第50回ニューヨーク映画祭(50th N.Y.F.F)に出品されている話題作『ジンジャー&ローザ(原題) / Ginger & Rosa』について、サリー・ポッター監督と、出演者エル・ファニング、アリス・イングラート、アレッサンドロ・ニヴォラが語った。

サリー・ポッター監督作品 映画『耳に残るは君の歌声』場面写真

 同作の舞台は、冷戦時代に突入した1960年代のロンドン。仲良しの女の子二人、ジンジャー(エル・ファニング)とローザ(アリス・イングラート)は、学校の授業をさぼって宗教、政治、ファッションに興味を示していた。だが、やがてローザが思想家でジンジャーの父親でもあるローランド(アレッサンドロ・ニヴォラ)に影響を受けただけでなく、彼に恋をし始めたことや、それぞれの反核運動への思いの違いから、二人の友情関係に亀裂が生じていくというドラマ作品。監督は、映画『オルランド』や『タンゴ・レッスン』のサリー・ポッターがメガホンを取っている。

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 1960年代を舞台にした理由を、サリー・ポッター監督は「当時のわたしは、映画内のこの二人の女の子たちよりはもう少し若かったけれど、キューバ危機で世界が終わるかもしれないという恐怖感にかられていたことを鮮明に覚えているわ。あの当時は、50年代の第二次世界大戦を生き延びた時代は終わっていたけれど、まだ平和、愛、フラワーなどを象徴した60年代後半から70年代前半には達していない時代の変革が起きていた時期で、そんな崩れかけたものを新たに作りかけていた中で、キューバ危機のような出来事を背景に世界がつながっていることを描きたかったの」と明かした。

 サリー・ポッター監督との出会いについてエル・ファニングは「わたしがまだ12歳のときにサリー監督に会ったの。そのときはこの映画のように赤毛ではなく、まだ金髪だったわ。オーディションは、サリー監督の前でイギリス英語を使って2、3シーンを演じることになっていたから、少し緊張して怖かった。ただその後、リハーサルをかなりやったので、キャラクターに対する理解が深まっていったの。だからいったん撮影に入ると、(演技に関して)新たなアプローチもできる余裕もあったわ。さらに、この映画の設定の時代を過ごした経験のあるサリー監督とは、スキニー・ジーンズ、コートなどを着ていたクールなビートニック世代について話したりもしたわ」と時間を掛けて製作したために役柄に入り込むことができたようだ。

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 自分(ローランド)の娘ジンジャーの友人ローザと恋に落ちるだけでなく、思想家という難しい役を演じたアレッサンドロ・ニヴォラは「このキャラクター、ローランドを道徳観念だけでみることは難しいと思う。それは、彼が思想家として発言することは正しいが、行動(娘の恋人と恋に落ちることなど)は間違ったことが多いからなんだ。サリー監督は、あまり信頼を置くことのできないキャラクターに、真実味のある言葉を発せさせることで、観客にとって落ち着かないキャラクターに見せたり、どう反応して良いかわからないようなキャラクター設定にしたことが、僕にとって面白いと思ったんだ。さらに、個人的に意識して演じたのは、このキャラクターは一度決めたことは、妥協せずに最後までやってしまうことだった」と語った。映画内でも、ローランドが重要な鍵を握るキャラクターになっている。

 映画は、多感な時期の二人の女の子が、社会の変革を通して成長していく過程を描いた女流監督らしい繊細な作品に仕上がっている。まだ弱冠14歳のエル・ファニングの演技力にも注目だ。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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