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福島県の映画館に実在する『ニュー・シネマ・パラダイス』  あと2年で築100年の映画館

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田村修司氏
田村修司氏

 17日、石川県金沢市で開催中の映画祭に、福島県本宮市の本宮映画劇場館主・田村修司氏が来場し、映画『ニュー・シネマ・パラダイス』さながらのエピソードを披露した。

 福島県にある本宮映画劇場は、1914(大正3)年に設立されたが、テレビの台頭により1963(昭和38)年に休館。田村氏自身は自動車のセールスマンに転職したものの、およそ50年もの間、劇場を手放すことはなかった。劇場の再開を夢見て私財を投じてフィルムやポスターを買い集め、再開の見込みがない中、コツコツと劇場内と映写機のメンテナンスを続行する彼を、好奇の目で見る人もいたという。

 しかし、そんな本宮映画劇場が2008(平成20)年に45年ぶりの上映会を開催し、大きな反響を集めることになる。先の東日本大震災でも、建物は一部損壊するものの倒壊することなく、映写機とスクリーンも無事だったという。そして2年後の2014年、映画館は築100年となる。
 
 「映画館にかかりっきりで、家族サービスは何もしなかった」と述懐する田村氏だったが、この日の会場には田村氏の娘さんも来場。「今回は来なくていいよと言われましたけど、内緒で金沢に来て驚かせました。かつてわたしは土日を映画館で過ごしてきました。父の機嫌がいいときには、わたし一人のためだけに古いアニメの予告編とかを観せてくれたことも。今考えると、何てぜいたくな時間だったんだろうと思います」という娘の言葉に田村氏は目を細めていた。(取材・文:壬生智裕)

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